そもそもソーラーと農業は両立するのか
植物が育つには太陽の光が十分必要で、それを太陽光パネルで遮ってしまうと言う行為は邪道である、というような考えの方も多いと思います。「植物と光」と言えば学生の頃に理科の実験でやった植物の向光性を思い出す人も多いでしょう。
植物を暗い場所に置き、一部から光をあてておくと植物が光を求めて体をよじらせて光に向かうという例のやつです。

この実験の印象が強いせいか、一般に「植物には 100%の光が必要」と思い込んでいる人が大変多い。
しかし、実際には植物はそこまで強い光を求めている種はほとんどなく、ある程度の光は必要だが、光は一定量あれば十分であり、逆にあまり強すぎる光は植物にとってむしろ「害」であるというケースが多いのです。
ではどの程度の光があればいいのか、ということを考えるときの一つの指標が光合成の「飽和点」とい考え方です。
5. 光合成の飽和点とは?

これが光合成の「飽和点」と言われるものです。この飽和点は植物の種類によっても違います。サトウキビやトウモロコシには飽和点がないように見えます。それに対しイネや小麦などは 40~50klx 程度が飽和点になっています。ケヤキやサトウカエデでは 10~20klx で飽和点に達しています。
このように植物は固有の飽和点を持っているので 100%の光が必要なわけではないのです。この性質を利用し植物に不要な太陽光を発電に回し、「作物の生育」と「発電」とで太陽光を分け合う(シェアする)というのがソーラーシェアリングの基本的な考え方です。
つまり畑や田んぼの上部に太陽電池を設置しますが、いわゆるメガソーラーのように一面に敷き詰めるのではなく、ある間隔を置いて設置します。そうすることで一定量の光が下の畑まで届くようにするのです。(一般的には 3~4 割程度の遮光率になるように設置します)
「農地が空いているので太陽光発電で利益をあげよう」ということが主目的ではなく、(それも大きな目的ではありますが)あくまで「農業」と「発電」の両立を目指すのがソーラーシェアリングなのです。
